「WILD UD通信 1月定例会の様子」

1月のUD湘南定例会は、「体育のUD」の提案でした。

箱根町立湯本小学校 山下大晃先生

小田原市立豊川小学校(UD湘南代表)片岡寛仁

 

第一提案 山下大晃先生の提案

6年生 ネット型「キャッチバレーボール」の実践

★単元のはじめに「やりたいな」「楽しそう」と思わせる

 

★視覚化・焦点化・共有化で「みんながわかる・できる」を目指す

視覚化

・ケンステップでコート内での立ち位置を明確にする

⇒位置を覚えづらい子もトスの場所、スパイクの場所がわかる

 

焦点化

・スパイクに特化する(学習前の子ども実態でスパイクを決めた経験が少ないことが分かったことから)

⇒時間内に何点とれるかを競う。

⇒点を取れて嬉しい → ねらった場所に打てて点がとれた というように高次の楽しみになっていく

 

・キャッチでつなぐ

⇒テンポの悪さを改善するために、慣れてきたらリズムを意識させる(審判の子が1・2・3・4・5のカウントをする)

 

・ルールもシンプルに

⇒ベースは教師が。やっていく中で子どもたちと作りあげる。

 

共有化

・口伴奏でスパイクの動きを言語化

 例)ごはん(片手を前に) おかわり(打つ)

 

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・筑波大学附属小学校の清水先生が提唱されている「口伴奏」

 視覚的な情報だけでなく、動きと、音や言語を関連させることは、「より多くの子」にとって、理解しやすい手だてである。

私(片岡)も、山下先生の何度かの提案を受け、体育の授業で実践してみた。(十分に理解できていないことも多いと思うが・・・)。子どもの食いつきが変わる。なぜならば、わかりやすいから。 

また、子ども自身が自分たちの言葉や音で表現し、生み出したものなので、その動作に愛着がわいていた。
 因みに、私は息子のサッカーチームでコーチをさせていただいているが、この口伴奏が異常に効果を発揮している。「ボールを取るときは、スーッとドン!」「ボールをもらう時は、卵ダッシュ!」読まれた方は意味わからないですよね。でも、この言葉で子どもは「あ、そうだ!」と自分の動きを振り返ることができます。


 

 

 


第二提案 片岡寛仁の提案


『UD湘南授業理論「4+5」()

★4理論『気になる子』の周囲にいる4つのタイプ

・模倣犯タイプ

・天敵タイプ

・陰の支配者タイプ

・ギャラリータイプ

 

★5理論『わかった』『できた』授業の5つの特徴

・ひきつける⇒視覚化

・方向づける⇒焦点化、共有化

・そろえる⇒共有化

・つなげる⇒焦点化、共有化

・わかった、できた⇒実感、達成感

 

4つのタイプの子どもたちを生かして学級、学習創りを、5つのポイントを意識して1時間・単元を構成した。

 

○4年生 「跳び箱運動」(開脚跳び・台上前転)での実践

・子どもの実態

 跳び箱運動に対して、「こわい」「できない」という思いをもっている子が多かった

⇒安全、安心  感覚づくり  言語化  かかわり合いを大切に単元を計画

 

★導入部=感覚づくり やる気スイッチON

ひきつける

・安心して取り組める活動を…

⇒かんたん、わかりやすい、できる

例)跳び箱から飛び降りる練習をする→展開部での着地時に前を向くにつながる

・遊び感覚でできることを…

 

方向づける

・ポイントを焦点化して提示する ⇒ 何をすればよいか3段階で方向づける

例)

○…着地の時に相手の目を見ることができる

◎…○+遠くに手をつくことができる

はなまる…◎+スピードアップ

 

★展開部=かかわり合いながら 感覚をいかす やりたいスイッチON

ひきつける

・「できる、やってみたい」場の提供

☆感覚を養う場…言語化してみんなで楽しく

台上前転「ひざ ピン ひざ ピン お・へ・そ」…マット運動でやったことを跳び箱運動でも

☆楽しめる一工夫 ~簡単な準備でできる場~⇒安心→ちょっと挑戦→怖いけどやってみたい

  ふみ台と跳び箱の間にもう一台低い跳び箱を置く

  舞台を生かして

  マットの手前に物を置いて、奥に手をつく練習をする

☆かかわいの中で

  着地時に目を合わせる

  両手を出してあげる

 

そろえる

方向づける

・ポイントの焦点化 3つに絞る

 

つなげる

・マット運動のポイントとつなげる

台上前転「ひざ ピン ひざ ピン お・へ・そ」…マット運動でやったことを跳び箱運動でも

・開脚とびのポイントとつなげる

 

★まとめ=表現・発展

そろえる

つなげる

・学習を生かして、みんなで○○する。……例)シンクロ跳び箱

・◆◆さん限定で表現(発表)する。…例)初めてとべた子など→自分も発表したい→次時の意欲へ

 

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・参加者の先生から、いただいた言葉で心の残ったのは次の言葉である。

「いいよね。全員が楽しそう。全員っていうのがやっぱり素晴らしい。・・・。

 発達にかたよりのある子(気になる子)は、圧倒的に褒められたり、成功したりする体験が少なく育ってきている。全員が、「跳べた」という成功体験・達成感を味わえたのが素晴らしいと思う。

 その裏には、すべての子どもが「跳び箱」を跳べるように、スモールステップで、計画されているということ。子どもの実態に応じ、一つのことに活動を絞って3つの評価の視点を与えているところもわかりやすい。」

「前の単元でやったことを、次の単元でもいかすことがすごく大切。特に気になる子は習得時間がかかるので、繰り返しできる場面が意図的に設定されていると習得しやすくなる。」


(おすすめです)

★5理論『わかった』『できた』授業の5つの特徴

・ひきつける⇒視覚化

・方向づける⇒焦点化、共有化

・そろえる⇒共有化

・つなげる⇒焦点化、共有化

・わかった、できた⇒実感、達成感

  この5つの視点をもとに、自身の授業を振り返ってみました。自分は何が得意としていて、なにが不足しているのか、振り返りやすいです。ぜひ、お使いください。また、ご意見いただけるとありがたいです。



(おまけ)

現在ちゃくちゃくと、UD湘南発授業論が進行中です。

・すべての学習の流し方、ある程度「型」が示せないだろうか。

・「導入」「展開」「まとめ」で、いったい子どものどんな姿を目指せばいいのだろうか。

・・・そのすべての答えが、近日中に明らかに!



こうご期待!!!