WILD UD通信 「3月 定例会の様子」

3月は2つの提案がありました。

 

発達が気になる子の人的環境
 ~周囲にいる児童のアセスメント~(阿部顧問)

 

②小学校6年生国語科「小さいやさしい右手」 授業の様子を参観

 

 満を持しての阿部顧問のご提案と、卒業をまじかにひかえた6年生の学習からのご提案でした。実に学び多き時間になりました。

提案1 「発達が気になる子の人的環境」について

○3つのテーマのもと、自分だったらどんな支援やかかわり方をするのか意見交換しました。

 

○最近の子どもの傾向

 ・自分だけ大切にされたい

 ・自分に敏感で、他人に鈍い

 ・楽しいことラクなことに流される

 ・気持ちを切り替えることが苦手

 

○発達が気になる子の周りにはこんな子どもが

 ・問題行動をまねる子(模倣犯タイプ)

 ・わざと刺激する子(天敵タイプ)

 ・陰でコントロールする子(陰の司令塔タイプ)

 ・トラブルを期待する子(ギャラリータイプ)

 ・担任に反抗的になる子

 

 それぞれのタイプの子どもの特徴やその子どもたちへの対応を20年に渡り、学校を回ってこられ研究されてきた阿部顧問だからこそ、わかった!ことを講義いただきました。

詳しくは、こちらの本をご覧ください。

> 「新・発達が気になる子のサポート入門

         ~発達障害はオリジナル発 達~」(学研)

  http://hon.gakken.jp/book/1340590700

 

「なるほど!」「そうか!」「わかった!」「やってみよう!」

まさに教師にとってのユニバーサルデザインの本です。

 

<感想>

・まさに目からうろこの話ばかりで、なるほど!と今までの学級内のことがつながりました。

・これから、次年度の学級を創っていく際にとても重要なことを学べました。

・自分のクラスに・・・。(ここでは省略します。そのでのキーワードは、トラブルを起こしていないことに視点を向けることの大切さ。トラブルにだけ目を向けるのではなく、その子が落ち着いている状態の中に解決の糸口を見つけるという、視点の転換の大切さ

・トラブルを起こす子どもにだけ原因があるのではなく、その周りにも目を向けていく必要があることがよくわかりました。陰でコントロールしてる子どもを見つけるには、全体だけでなく、個と個のつながりをよく見ていく必要があることも大切だと感じました。

・ベテランの先生でも「わかったつもり」でいるケースもある。子どもの様子を注意深く多面的に見ていく必要性が大切であることがわかりました。

 

☆1時間弱の時間でしたが、今年一番の目からうろこ話!圧巻でした!!!

 

提案2 小学校6年生国語科「小さいやさしい右手」

○授業を計画するにあたっての教師の願い

 ・語彙力を増やしていきたい

 ・語感の豊かさを育てたい

 ・根拠をもって読む力を育てたい

 ・読み深める力を育てたい

 ・読書の世界を広げたい

 

○本時は、魔物の人物像について考えるのがねらいである。

 

<協議内容>

・先生の言葉づかい、笑顔が子どもたちに安心できる雰囲気をつくっている。

・「○○さん」と呼ばれていても、恐縮してしまう子どももいるが、「さん」の言い方が温かく、みんながこの教室にいたいと思える温かさと安心感をつくっている。

・子どもたちの共感性、絶えずきかれる笑い声、つぶやきながら参加する姿、これらは先生が絶えず、笑顔で子どもの発言を受け止め、プラスの言葉がけで返している賜物である。

・教材で教えたいことがはっきりしている。教材研究が徹底されている。このことも子どもたちが安心して学習にのぞめる基盤となっている。

・教材研究を丁寧に行っているため、子ども一人ひとり発言やつぶやきを丁寧に扱える「ゆとり」を持つことができる。

・子ども発言を受けて、全体に返すところ、さらに全体で深く読むところのポイントが明確であり、そのための補助発問が優れていた

例:「そんなこと、どこに書いてある?」=一人の子どもの学びを全体に広げる教師の補助発問。(個とクラス全体をつなぐ補助発問)

  「誰との友情?」=さらに深く読み取る補助発問。(個と作品世界とをつなぐ発問)

「自分たちだったら?」と作品の世界と自分の世界をつなぐことで、子どもたちが意欲的に考え発言することにつなげている。

・本時は「お楽しみ単元」として位置づいてはいるが、国語科という視点で見ると、今までの人物像を読む技術がもう少し出ていてもよかったかもしれない。

・人物像をつかむことがねらいであれば、選択肢の中から選び、その理由を明確にできる一時間であってもよかった。一時間後、「魔物は      な子。だって    」と自分なりの論理を表現できる一時間でもよかった。

 

卒業まじかの6年生としては誰もが目標とする素晴らしいクラスでした。まさにこれぞ教師が目指す理想のクラス!そういっても過言ではありませんでした。そのクラスの子どもたちを「つない」でいるキーワードは、先生の「笑顔」「プラスの言葉がけ」、さらに「絶え間ない教材研究」、さらにさらに、「自分自身(教師として)をみせる演出力」。ちなみに、ご提案くださった先生は、毎日スーツを着られています。スーツ姿って意外と子どもの心と距離をつくってしまうイメージのあるものです。それを自分自身を見せる演出に使い、絶妙に子どもとの距離感を笑顔で「つながれている」のだと思いました。