WILD UD通信 2月号 「2月の定例会の様子」

2月は、2つの提案がありました。

①体育科 「組み合わせ単元」で授業をUD化

②算数科 小学校4年生「分数」の授業参観から考えるUDの授業

 

 今回も大幅に時間を延長してワイルドに学びあいました。

提案1 「組み合わせ単元」で授業のUD化

「組み合わせ単元」とは、1時間を2分割し、45分の中に2つの単元を計画すること。

 

◎組み合わせ単元で学習を進めていくメリット

・子どもがその学習と触れ合う期間が長くなる。

・時間が20分程度になるため、メリハリのある活動で、子どもにとって学びのゴールが明確になる

・もっとやりたい感をもって終えることができる

 (プラスの言動で学習を終えることができるため、次への意欲が高まりやすい)

・学びの日常化

 もっとやりたい感が高まり、休み時間に取り組む子どもが増える。

 例:縄跳び 鉄棒 の学習後、休み時間にクラス全員で取り組む姿。放課後に公園で友達と鉄棒に取り組む姿が見られた。(提案者以外に取り組んでいる人からの声)

 

◆組み合わせ単元で学習を進めていく上での重要事項

・準備物のシンプル化

・指導の視点の明確化

 

 ⇒ UDの視点でいうと、

 『シンプル化』 学びの視点を限定する。

         道具をほかの単元でも使えるものにする

  

   例:幅跳びの学習

   視点:踏み切りの位置・足の裏を見せる・両足着地

   道具:幅跳びと、高飛び両方で使えるものを作成

 

 『視覚化』  踏み切りの位置にホームベースをおく

        走るラインを作る

        砂場に得点ラインを設ける

 

 

主な協議内容

・子どもたちにとっての学びの必要感は、幅跳びをどれだけ距離を跳べるかということだけでなく、得点化するなどゲーム化することで誰もが参加したい学習になっている。

・どれだけ遠くへ跳べるか、という視点だけで得点が考えられているのではなく、踏み切り位置で踏みきれれば10点、足の裏を見せて跳べれば10点、両足着地ができれば10点というように、遠くへ跳べない子どもでも参加しやすい工夫ができている。

・グループで取り組むことで、他者応援をしやすい環境づくりができ、一体感のある学びあいにつながる。

・オフタスクを減らしていくことが大切になってくる。

・多様な価値観で学習を捉える目を子どもたちに示すことは、とても大切なことである。

・幅跳びに3つの視点が示されているが、この3つで子どもは幅跳びができるのか。

・体育に興味を持っている先生にとって道具を作る負担は感じないかもしれないが、果たして2つの単元で使える道具作りに意識を向ける心の余裕があるだろうか。

・道具を使わなくても、誰もができる 指導法のコツのようなものが知れるとありがたい。

・学級数の少ない学校では、カリキュラムを変更しやすいかもしれないが、体育館の割り当て、専科の割り当て、学校行事等の関連をきちんと計画できないと、なかなか学校全体で「組み合わせ単元で」の導入は難しい実情もある(実践している人より)

 

提案2 算数「分数」の学習から、授業のUDを考える

◆教える側に視点を当てて授業を考えてみると、算数には次のような困難さがある。

 ○「はかせ」を追究するのが算数の学習の本質でいいの?

 ○計算の仕方を暗記させる?論理を理解させる?

 ○系統性があり、一時間に何を教えるのかが明確であるが故に、時間的にも内容的にも  教える側にプレッシャーはない?

 

◆算数の学習で大切にしたい時間

 ○前時の学習の復習

 ○本時で扱う「数」について確認する時間

 ○文章題の意味理解の時間

 ○問題の解き方のヒントタイム

 

 4年生の算数の授業風景をビデオで撮ったものを、みんなで鑑賞しその後、意見交換をしあいました。

 

主な協議内容

・まず、本時で扱う、4と1/2という帯分数について、どんな数なのか、子どもたちが口で説明したり、絵を描いて説明したいと、全員が挙手をしている姿が見られた。(導入段階で誰もが参加できる「セキュア発問」から入ることで、学習に対する意欲ややる気が前向きになっている。)

・真分数を⇒素直な分数 仮分数を⇒反抗的な分数 帯分数⇒お母さんに反抗しすぎてお父さんが出てきて、素直になった分数 など、子どもたちが算数用語を自分たちの生活の仲の言葉に置き換えて理解できている。

・丁寧にみんなと学習を進めていく方法もあれば、問題解決型の学習もある。まず、問題を提示し、できないところを課題とし、みんなで考えていく課題追究型の学習もあるではないか。→分数という子どもたちにとって非日常の数字を扱う際は、いきなり課題追究型にすると、導入の段階で学習に対する意欲が低下する子どもも出てくる。単元ごと、ねらいごとに、学習の形態は変わってよい。

・ヒントを出すことはよいが、「できる子」が「できない子」に教えているという姿にはならないだろうか。学び合うということは、一方が受け身の存在になってはいけない。

・「雰囲気が盛り上がる」と「学びがもりあがる」は別物である。

・一時間の学習として、よいイメージで始まり、悩み、最後もよいイメージで終えることが理想である。

・「わかった」と「できる」は違う。もうワンステージ上を目指して学習を創っていく必要もある。